今日は「人生の輪」というツールを使って、人生の全体像を把握することについて考えてみたいと思います。
私たちは様々な分野の人々と多面的に関わりながら生きています。
誰かの子供や孫であったり、親であったり。
教師であったり教え子であったり。
友人同士やパートナー、ライバルであったり。
学生時代の同級生に見せる自分と、趣味の仲間や仕事関係の人の前で開示する自分の姿は違っていることでしょう。
意識的あるいは無意識的に、今いる場面に応じて期待される役割を演じている可能性があるのです。
ひとりの人が持つ様々な面について見ていく時、コーチングセッションでは「人生の輪」というツールを使うことがあります。
この図に従ってそれぞれの分野を見ていくことで、ご自身の思いやあり方、大切にしている価値観を言語化していきます。
全ての分野について語り終えた後には、人生の全体像を確認していきます。
多くの責任を背負い多忙な毎日を送られているエグゼクティブの方々の中には、仕事分野でのコミットメントが高く、時間やエネルギーの相当量を仕事に投入されている場合も少なくありません。
「人生の輪」は、ご自身にとって納得感のあるバランスと全体像になっていることが大切です。
しかし、忙しいエグゼクティブの方々の場合、家族も友人も学びも遊びもっともっと時間をかけたいのに仕事が忙しすぎて全然できない!と話される方も多いのが現実です。
もしそんな風に感じているとしたら、今このタイミングで、ご自身の持つリソースをこれからどのように使っていくべきか、一度立ち止まって考えたほうがいいかもしれません。
私の担当させていただいたクライアントさんの中に、「家族のために一生懸命働いてきた。単身赴任もしたし子供の成長をあまり見られなかったり大変なこともあったけれど、妻や子どもに経済的な苦労はさせたくなかった」と話してくださった方がいらっしゃいます。
家父長制の強い日本型雇用慣行においては、男性が稼ぎ手(breadwinner)として残業も転勤もいとわずに働くことを当然とする風潮があります。そうすることが王道で、それ以外の生き方は認められにくい傾向が続いてきました。
女性についても、総合職等の職務区分で働く場合、残業や転勤はもちろんのこと、男性以上に働き結果を出すことが求められる風潮があります。
(総合職女性は人数が少ないため、良くも悪くも目立ちやすく、従って、男性以上に頑張らねば「だから女は!」と非難されやすい傾向が独自インタビューの中で確認されました。)
かつてであれば終身雇用や年功序列型の報酬制度などに守られましたが、近年ではこうした慣行に伴う便益の享受も、人件費削減などと相まって微妙な状況になっています。
40代や50代での早期退職または転職の勧奨などが行なわれるようになり、かつての「リゲイン」のCMのように24-7で仕事に邁進しても報われなくなりつつあります。
退職してから第二の人生を、と考えたのでは遅すぎるのかもしれません。
今このタイミングで、ご自身の人生の全体像を見直し、生きたい人生に舵を切ってみませんか。
仕事だけではなく、家庭や趣味や社会貢献などにも時間やエネルギーを傾けてみませんか。
「自分は働くために生まれてきた」と断言できる方は、もちろんそのままで大丈夫です。
でも、そうでない方は是非、この機会に一度立ち止まって、ご自身の「人生の輪」について考えてみてもいいかもしれません。
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