2018年1月21日(日)の日経新聞4面。
倉本聰先生のメッセージが掲載されていた。
「60代の若者たちへ。
この先をどう生きるか。しまっておいた夢を取り出してみないか。」
取材当時82歳の先生から、人生の節目を迎え、新たな生き方を模索する人達に贈られたメッセージ。「60代の若者たちへ」とあるけれど、おそらく、40代、50代にも当てはまる大切な言葉たち。特に後半部分について、どうしても記憶にとどめたくて、転載することにしました。
「長く生きることより、どう生きるかに価値がある。
人生の後半をどう生きるか。最近よく取り上げられるテーマですね。人それぞれの価値観もあり、一概には言えませんが、一人の人間が誕生して、成長し、やがて老いてフェードアウトしていく中で、大切なのは長く生きることより、どのように生きるかということではないでしょうか。
ある老人が健康と元気は違うと言っていたのですが、僕も健康だけでは人生の最終目標にならないと思っています。健康で何をやりたいの。長生きして何をやるの。人生、長寿ギネスに挑戦しているわけじゃないんですから(笑)。老いることは誰もが同じですが、最後の一日まで、楽しく明るく過ごしながら生きた人が幸せだと思いますね。僕自身は、これまでの生き方に納得もしているので、いつ死んでも怖くない。ただ、生きている間は楽しく明るく過ごしたいという気持ちはあります。
もう一度、スタートした原点や初心に立ち返ってみる。
学校を出て就職したばかりのころ、誰にも夢があったと思うんですね。でも組織の中で新人が夢を実現することはなかなか容易ではありません。どうしたらいいか。僕は、自分の夢をいったん金庫に納めてカギをかけて、自分に発言力や実力がつくまでしまっておきなさいと言ってきました。僕もそうしました。ただ、大概の人は40代ぐらいになって社会の中で忙しくなった時に金庫のあった場所を忘れちゃう、カギを失くしちゃう。そもそも自分が何をやりたかったのかすら忘れてしまう人もいるんですね。40代、50代になったらそれを思い出すことですよ。取り出してみて、昔の自分はこんなに青臭かったんだと思うなら捨てればいい。でも今の自分が真っ黒になったから青臭く見えてるのかもしれません。還暦や喜寿、定年退職などの節目に再度、初心を振り返るのも意味のあることだと思います。
仕事を離れた後、残りの人生をどう生きるか、いろいろな選択肢があると思いますが、そのことによって喜びを見いだせるか見いだせないか、大切なのはそこでしょうね。それが”元気と活力”にあふれた、”楽しく明るい”日々の源になると思うんです。自分は何に喜びを感じるのか、それを識(し)ることこそが次の生き方につながっていくのではないでしょうか。」
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