昨日に引き続き、日経新聞「私の課長時代」から。住友商事の中村邦春社長がプエルトリコ駐在時代に、現地社員とお酒を飲みながらやりとりしたお話。
現地社員と酒を飲んでいるときに「どうして日本人は遅くまで働くんだ」と聞かれたことがあります。「将来引退したときに楽しい生活を送るためだ」と答えると、彼らは「今には今の楽しみしかできない」と驚いた表情をしました。30代には30代、40代には40代の楽しみがあるというのです。その話を聞いて「確かにそうだな」と腑に落ちました。以来、月に1度は平日に休みを取り、家族との時間を大事にするようにしました。怒らなくなったことといい、あまりの変わりように周囲が目を白黒させていました。
ずっと若い頃に読んでいたら、きっとイソップ寓話「アリとキリギリス」みたいだと感じただろう。そして、自分はアリとして、きちんと将来に備えなきゃ!と思ったに違いない。
最近では、アリかキリギリスか、の二択である必要はないと考えている。白黒ではなく、その間に微妙なグラデーションがあってもいいはず。放っておくとアリになりがちな私には、今しかない楽しみをより優先させるぐらいの心持ちで。自分が心地よいと思えるぐらいの絶妙なバランスに持っていけたらいいかなと思っている。
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