禅僧、詩人、平和活動家でもあるティク・ナット・ハン師(Thich Nhat Hanh)。マインドフルネスを中心に、誰もが日常生活で取り入れられる応用仏教を世界中で指導している。
NHK「こころの時代 」にて、ハン師の特集が放送された。第1回目は「怒りの炎を抱きしめる」、第2回目は「ひとりひとりがブッダとなる」。
『第1回は、紛争や対立、差別などの「怒り」をどう変容させたらいいのか、波乱に富んだ人生からひもとく。真髄はブッダの教えに基づく「マインドフルネス(今ここに存在する自分に気づく)」。自と他の区別をなくすことで、怒りを静め、社会を変えることができると説く。原点は、ベトナム戦争。教えを受けた高僧の焼身や弟子の殺害に苦悩し、暴力で対抗せずに慈悲の境地に至る。そして、キング牧師と共鳴、国際社会を変革していく。』(NHK ONLINE番組紹介文より)
今日は第1回目の放送を観た。ハン師はベトナム戦争中、「社会主義から救うために村を爆撃した」という米兵の論理に対して怒りを感じる。しかし、その怒りを抱きしめ面倒を見ていくうちに、米兵に対する慈悲のような気持ちに昇華させていった。
ハン師は言う。息を吸って瞑想し、自分が自分という一つの存在であることを自覚すれば、他者を知ることが出来る。自分の庭を綺麗に出来たら、今度は他の人の庭を綺麗にすることも出来る。自分は孤立した存在ではなく、相互共存の中で生かされていると知ることになる、と。自分と人とが共にあるのなら、怒りに対して怒りをぶつけても何の意味もないのだ。
ハン師はまた、ベトナム戦争中に5人の子供たちを殺したアメリカ人兵士について話す。彼は殺された仲間の復讐をするため、毒を入れたサンドイッチを子供たちに食べさせたのだ。帰国してからも自分が殺した子供たちのことが頭から離れない。そのことについて母親以外誰にも話すことも出来ず、ずっと苦しんでいた。ある時、彼は自分のしたことを告白する。その場にいたベトナム人は怒りを表すかわりに、亡くなった5人のために、より多くの子供の命を救ってはどうかと提案する。過去を嘆き、悩んでいるよりも、一粒の薬がないために命を失っていく子供たちを助けてはどうか、と。
怒りの炎を抱きしめる。号泣する赤ちゃんをあやすように。すっぽり抱きしめて、しっかり向き合っていきたい。
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