日経新聞朝刊2月の「私の履歴書」は、日揮グループ代表の重久吉弘氏。
生い立ちから日揮での活躍、ご夫婦での街道行脚など趣味まで含めて
1か月にわたる連載が昨日で終了した。
「私の履歴書」には、角界の重鎮の方々の人生模様が描かれ
毎回色々と触発されることが多いが、
今回の重久氏の連載では特に
思わずメモを取りたくなるような日が多かった。
例えば、24日の履歴書。
「スピーク・アップ(Speak up)」は私が常に社員に実行を求めていることのひとつだ。意味は「思い切って話しかけろ」とでも言ったらいいだろうか。日本人は真面目だが「沈黙は金」という発想が強く、言葉のコミュニケーションより以心伝心のような相互理解を重視する。(中略)2010年11月に横浜で開催されたアジア太平洋経済協議会(APEC)首脳会議。日本への経済人も招かれたレセプションには各国首脳が顔をそろえた。だが、会場は静まりかえり、誰も首脳に話しかけようとしない。私はこんなよいチャンスをと思った。その時、オバマ米大統領の姿が目に入った。「ミスター・プレジデント」。私は引きつけられるように歩み寄り、思わず話しかけてしまった。(中略)話は盛り上がった。米国大統領でもその場に話し相手がいなければ寂しいものなのだ。(中略)宴も終わり、会場の出口で各国首脳の退出を見送っていると、なんとオバマ大統領が私を見つけ、握手を求めて来られた。私も驚いたが、周囲の人はもっと驚いた。これもすべて「スピーク・アップ」の効果なのである。
もうひとつ、10日の履歴書から。
「南米3ジョブ」ではまさにタイミングと政治情勢が日揮に大きく味方した。当時の中南米はキューバ革命の影響もあって、反米や社会主義への共鳴が広がっていた。一方で米国は「黄金の50年代、60年代」であり、石油、石油化学のプラントが次々に建設されていた。つまり、南米市場では強敵である米系エンジニアリング会社の空白が生じていた。日揮はその機会を逃さずつかんだのだった。人も企業もチャンスに出会った時にそれをつかめるかどうかで、運命が変わってしまうものだ。
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